オープンウェイト公開から6日。徹底調査 → 46GBダウンロード → マルチショット検証まで
Lightricks(LTX)社が2026年8月11日にオープンウェイト公開した動画生成モデル。第2弾で導入した LTX-2.3 の後継で、映像と同期した音声(セリフ・効果音・環境音)を1つのモデルで同時生成する路線はそのままに、生成パイプラインをほぼ全段作り直した大型アップデートです。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| パラメータ数 | 22B(2.3と同規模。大きくせず中身を再設計) |
| 出力 | 最大4K HDR・最大50fps・尺 2〜20秒(実測では20秒も完走。検証③参照) |
| 音声 | 映像と同一パスで同時生成。リップシンク対応 |
| ComfyUI 対応 | 公開初日からネイティブ対応(Day-0)。0.33.0 なら追加作業ゼロ |
| ライセンス | LTX-2.x Community License(年商1,000万ドル未満は商用無料) |
公称のブラインド人間評価で勝率67%(全モデル中1位)、映像の破綻(アーティファクト)量は 2.3 の約1/3 に改善。進化の柱は4つです。
| 新要素 | 何がうれしいか |
|---|---|
| ネイティブマルチショット | 1回の生成で複数カットのつながった映像を出力。カットをまたいで同じ顔・同じ服・同じ声が維持される。今回の検証の主役 |
| 拡散ビデオデコーダー | 従来VAEが苦手だった「顔・文字・細かい質感」の復元を拡散モデルで行う新機構。低解像度でも締まった画になる |
| Gemma 4 エンコーダ | プロンプト理解が世代交代(Gemma 3 → LTX専用調整の Gemma 4 12B) |
| 自動デュレーション予測 | プロンプト内容から最適な動画の長さをAIが決めるオプション |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| OS | Windows 11 |
| GPU | NVIDIA GeForce RTX 3090(VRAM 24GB) |
| RAM | 32GB |
| ComfyUI | ポータブル版 0.33.0(今回は更新不要。既存の SDXL / Wan 2.2 / LTX-2.3 / MiniMax H3 環境は無変更) |
※VRAMの入口は16GB(int8量子化)。ただし他環境の実測でシステムRAMをピーク45GB超消費した報告があり、実はRAM 64GBが安心ライン。32GBの本機では生成中は他アプリを全部閉じて運用。
H3 のときは本体更新が必要でしたが、今回は ComfyUI 0.33.0 に LTX-2.5 のテンプレート・専用ノードがすべて同梱済み。やることはモデルを置くだけでした。ただし1つだけ新しい壁が。
これまでのモデル(2.3含む)は認証不要でダウンロードできましたが、LTX-2.5 本体は Hugging Face の gated リポジトリ(ライセンス同意が必要)。手順は次の3つです。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| ① 同意 | Hugging Face にログインして LTX-2.5 のページで同意フォームを送信。自動承認なので待ち時間ゼロ |
| ② トークン発行 | 設定画面で「Read」権限のアクセストークンを作成 |
| ③ 認証付きDL | ダウンロード時にトークンで認証 |
ファイル名は変更禁止(テンプレートが名前を前提にしているため)。
| ファイル | 役割 | 配置先(models\ 以下) | サイズ |
|---|---|---|---|
| ltx-2.5-22b-distilled-transformer-comfy-int8-convrot.safetensors | 本体(蒸留版・8ステップ高速生成) | diffusion_models\ | 20.0GB |
| gemma4-12b-with-proj-ltx-2.5-comfy-int8-convrot.safetensors | テキストエンコーダ(プロンプト理解) | text_encoders\ | 14.3GB |
| gemma4_e2b_it_bf16.safetensors | プロンプトエンハンサー用の小型LLM | text_encoders\ | 9.6GB |
| ltx-2.5-video-vae-bf16.safetensors | 映像VAE | vae\ | 1.4GB |
| ltx-2.5-audio-vae-bf16.safetensors | 音声VAE | vae\ | 0.3GB |
| ltx-2.5-latent-spatial-upscaler-x2-bf16-1.0.safetensors | 2倍アップスケーラ(低解像度生成→拡大仕上げ) | latent_upscale_models\ | 0.9GB |
本体は int8-convrot(8bit量子化)版を選択。無圧縮 bf16 版は39GBあり、VRAM 24GB + RAM 32GB では int8 が現実的なラインです(公式テンプレートの標準指定もこれ)。
テンプレート検索「LTX-2.5」で6つ出てきますが、使えるのは半分だけ。
| テンプレート | 正体 |
|---|---|
| LTX-2.5 (Pro): T2V / I2V / FLF2V(王冠マーク+「API」タグ) | ✕ 有料クラウド版。ローカルでは使わない |
| LTX-2.5: テキストから動画へ / 画像から動画へ / FLF2V | ◎ ローカル版はこちら(タグが「動画」だけの方) |
見分け方は「API」タグと王冠マークの有無。H3 のときと同じ罠なので、シリーズ視聴者はもうお馴染みですね。
2.5 の目玉機能を、あえて5秒・2カットという最小構成で検証。マルチショットに特殊な構文は不要で、時系列の散文の中に「Cut to...」とカット切替を書くだけです。
| 原則 | やり方 |
|---|---|
| カット切替を文章で宣言 | Cut to a close-up of... のように書く(推奨は2〜4カット。5秒なら2カットが限度) |
| 「見た目タグ」を毎カット繰り返す | 同一人物として維持したい特徴(服・髪・小物)を各カットで同じ言葉で再記述 |
| 音の連続を明示 | 「雨音と環境音が両カットを通して途切れない」と書くと音声トラックがカットをまたいで持続 |
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 生成時間 | 149.85秒(約2.5分)で5秒動画が完成。H3 の同クラス(480p・5秒=約6分)の半分以下 |
| 画質の体感 | 低めの解像度(832×448)にもかかわらず、1280×704で生成した2.3より画質が上に感じる結果に。顔・雨粒・着物の柄のディテールが締まっており、新デコーダー(顔や質感に強い)の効果と考えられる |
画像から動画(I2V)では、1枚のポートレート画像を1コマ目にして、動画生成AIが伝統的に苦手としてきた「手と顔の細かいインタラクション」や「日常でありえない動き」を検証。使ったお題プロンプトを2本公開します(結果は動画本編で!)。
肘を舐めようとして失敗 → 両手で頬をもちのように引っ張って変顔 → 小指で耳をほじって指を確認。難易度の違う「手×顔」動作をどこまで破綻せずこなせるか。
前兆(電気ノイズ)→ 爆発(閃光・衝撃波・破片直撃)→ 事後(煙・煤・呆然)の3幕構成。爆発音や耳鳴りまで音声同時生成でどこまで演出できるかも見どころ。破片は当たるが「ケガ・血なし」を明示してアクション映画調に。
同じ RTX 3090 で条件を変えて計7本生成した実測値。バーの長さ=かかった時間です。
※0.4メガピクセル=864×480級、1.0=1376×768級、2.0=1920×1088級(16:9時。出力は32の倍数に自動調整)
| 発見 | 根拠 |
|---|---|
| 秒数は「ほぼタダ」(H3と真逆!) | I2V 0.4MPで5秒→15秒(3倍の長さ)にしても 171.8秒→179.0秒で+4%しか増えない。「秒数は2乗で効く」H3と正反対の特性 |
| 払うのは「解像度」 | 同じ15秒で 0.4→1.0MP(画素約2.5倍)にすると 179秒→313秒(約1.75倍)。時間は秒数ではなくピクセル数で決まる |
| 最大出力は別世界 | 2.0MP・20秒は約22分と非線形にジャンプ(1.0MP・15秒の約4倍)。VRAM/RAMに収まらずオフロードが発動したとみられる。RAM 32GB環境では「最後の切り札」扱いが妥当 |
| T2VとI2Vはほぼ同速 | 全条件で差は1割未満。15秒・1.0MPではむしろI2Vの方がわずかに速い(313秒 vs 320秒) |
✅ H3が「秒数を削って時間を節約する」モデルだったのに対し、LTX-2.5は「秒数は気にせず、解像度で節約する」モデル。テストは0.4MPで長さを気にせず回し、当たりが出たら1.0MPで本番(15秒でも約5分)。2.0MP・20秒のフル出力は約22分かかるので、ここぞの1本だけに。
| コツ | 内容 |
|---|---|
| prompt_enhance の ON/OFF | 小型LLMがプロンプトを映画調に自動加筆する機能。短い指示を膨らませたいときはON、変な動きやカット割りを正確に通したいときはOFF。ONだと意図した動作が「上品な仕草」に書き換えられることがある。RAM節約にもOFFが効く |
| 長尺は意外と平気だった | 事前調査では「I2Vで10秒以上はハング報告あり」だったが、本検証では15秒・20秒とも問題なく完走。秒数を伸ばしても時間がほぼ増えない特性(検証③)もあり、長尺は積極的に試してよい。ただし最大出力(2.0MP)との併用は約22分コース |
| 「サンプラー後の沈黙」は正常 | 処理時間の約半分は新方式のVAEデコード。進捗バーが終わりかけで止まって見えても壊れていない |
| 解像度セレクターの読み方 | メガピクセル値で指定(0.4=864×480、0.9=1280×736 など。出力は32の倍数に自動調整)。まず低解像度で数を打ち、決定版だけ上げるのが2.5の流儀(2倍アップスケーラも同梱) |
| 過去生成のワークフロー復元 | 生成済みMP4を ComfyUI の画面にドラッグ&ドロップすると、当時のワークフロー(プロンプト・シード・全設定)が丸ごと復元される。動画ファイルがタイムカプセルになっている |
| シードは固定推奨 | 成功した構図のまま秒数・解像度だけ変えて比較できる。検証では必須テク |
| RAM 32GB 環境の心得 | 生成中は他アプリを全部閉じる。15秒などの長尺は今日イチの重さになる |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 解像度・フレーム数 | 解像度は32の倍数、フレーム数は「8の倍数+1」に自動調整される |
| 文字描写 | 2.3より改善したがまだ苦手分野。タイトルロゴなどは崩れる前提で |
| 苦手なもの | 手・厳密な同一人物の長時間維持・複雑な物理は残る弱点。2Dイラスト調は速い動きで崩れやすい報告あり |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 商用利用 | 年商1,000万ドル未満なら無料(セルフホスト・ファインチューン込み) |
| 生成物の権利 | 生成者のもの(YouTube収益化OK) |
| 義務 | AI生成であることの明示(YouTubeの合成コンテンツ開示+概要欄記載で対応可) |
| 禁止用途 | 同意のないディープフェイク・偽情報・未成年者への危害・差別・兵器等(AUP) |
ローカル生成には Web アプリのようなサーバー側の検閲がありません。ただし「弾かれない=何でもOK」ではなく、責任が運営会社から自分に移るということ。ライセンスの禁止用途、YouTube のコミュニティガイドライン、法律は生成手段に関係なく適用されます。
Claude Code や Codex などのエージェント AI にそのまま貼り付ければ、この動画と同じ環境を自動構築してくれるプロンプトです(NVIDIA GPU 搭載の Windows PC 向け)。今回は gated モデルのため、Hugging Face の同意とトークン発行だけは自分で行う必要があります。